染、色全公演を終えて

遅くなってしまいましたが、染、色全35公演、本当にお疲れさまでした!!!

無事に完走できて本当に良かった...チーム染、色の皆さま、本当にありがとうございました!!!

 

実は今回、ありがたいことに数公演観に行かせていただけて...先日の記事は初日を見た上での感想・解釈だったのですが、数公演見た上での感想もやはり残しておきたく、今回筆を取りました。(筆とかカッコよく言ったけど正しくはキーボード)

 

正直、この「染、色」という作品は、観るたびに表情が変わるし、脚本家やキャストさんのインタビューを読むと、どれも"正解"で、でもどれも"未完成"だと感じています。

観た人全ての人の解釈が正解。だけど、当たり前に、脚本家の中にも、演出家の中にも、キャストの中にもそれぞれの"正解"がある作品。

(これ、NEWS担はよく出会ってると思うけど(笑))

 

だからこそ、考察をするのは野暮なのかもしれない。観劇した上で受け取れたメッセージを大切にするべきなのかもしれない。

そう思ったけど、やっぱり私が感じたことを残しておきたいと思ってしまうのもオタクの性で。

なので、私が感じたこの感想・解釈が全ての正解だとは思わないし、それこそ加藤さんに一刀両断されるかもしれないけど、それでも、配信を観てまた解釈が変わる前に、少し私の言葉として残しておきたいと思い、今これを書いています。

 

真未という人格

前回書いた時は、深馬の中にある人格だと書きました。その感覚は変わってないです。

でもじゃあどこで真未が出てきたのか。

それはやっぱり最初のシーン。滝川の部屋で飲んでて、深馬と杏奈がキスするシーンで、風船が割れて、全員がビックリして、杏奈が深馬の絵を倒してしまうシーン。

そこで深馬が慌てて手を出して絵を拾うけど、手に絵具がついてしまって。

そこで、深馬が狂ったように笑って、プロジェクションマッピングで染みついていく映像が映る。ここで真未という人格が生まれたのかなって感じた。

 

じゃあ、真未という人格はなんなのか。やっぱりここは、深馬の中にあった「怒り」をメインにした感情なんだろうなと。

ロランスさんの企画展にオファーが来た時、深馬は滝川に相談する。

「怒りのような感情を発露に描いていたけど無くなってしまった。そしてそれをやばいと思えないことが一番やばいんじゃないかって」

この感情が真未なのかなって。真未が全部持って深馬から出てしまったから、だから深馬としては空っぽで。

 

ただの"二重人格"ではないと思うんだよね...二重人格だとしたら、本人は覚えてなくても、周りは違いに気づくはずだし...時系列が狂うことはないと思うんだよね...

 

恋愛小説(仮)要素?

前半、深馬がまだ真未と出会ってない頃。

真未が出てくるのは基本的に「深馬がお酒を飲んだ時」なんだよね。

最後、実は全てやっていたのは深馬だと分かるシーンでも出てくるんだけど、

例えば恐竜の絵。一本線を書いて、その後お酒を飲んで寝てしまって。その間に出てくる人格が絵を書き足す。そして、目が覚めた深馬が驚く。

「恋愛小説(仮)」は「染色」も収録されている「傘をもたない蟻たちは」に入ってる作品なんだけど、小説家のお話で、書いたことが夢の中で実現されるっていう話なんだよね。(ものすごく抜粋した説明なので、ぜひ1度読んでみてください。)

で、寝るために、恋愛小説(仮)の主人公は、お酒と睡眠薬を併用して、ボロボロになって、入院することにもなるんだけど。

これ、ドラマ版では自殺しそうになるの。夢と現実の境目が分からなくなって。

ドラマでは親友(加藤さんが演じてた)に止められて現実に戻ってこられるんだけど、実は染、色でも危ういなと思うシーンがあった。

 

真未が深馬の絵を壊したと分かるシーン。

そのことを知った深馬は真未を問い詰める。

「なんでこんなことするの!?」って。

真未の答えは「ちょっといたずらしたくなって」

 

真未が深馬にスプレーを隠された時と同じ会話。

ここについてもいろいろ書きたいことはあるけど、話それちゃうから一旦保留。

 

とにかくここで、真未は「ずっとこのままでいられたらいいね。私が深馬の願い全部叶えてあげる」って深馬に絡みつくの。

そこで深馬は意識を落としそうになる。真未に取り込まれそうになる。

 

最終的には自分を取り戻して真未から離れるんだけど、あのシーン

離れられなければ深馬は死んでいたのでは?

と思ったんだよね。

真未は、"ちゃんとした自由"を持ってるけど、だからこそ"死の象徴"なんじゃないかと感じた。

 

 

ちゃんとした

今回「ちゃんと」という言葉もよく出てきた。

"ちゃんとした自由"

"ちゃんとした不幸"

"ちゃんと死ぬ"

 

特に最後の"ちゃんと死ぬ"は強烈だと思う。

「作品を完成させる=死」という表現なんだけど、だからこそ"未完成"もキーになっている。

舞台「染、色」で作品を完成させられないのは深馬。完成させるのを怖がってる。それを完成させるために現れたのが真未。

だけど原作で作品を完成させられなかったのは美優。美優は描いてる途中で違うものが描きたくなるから完成させられない。そこに市村が描き足していくことで話が進んでいく。

 

だから、原作だけでは"未完成"から"死"のイメージには辿りつかないけど、舞台版は、「作品を完成させること=ちゃんと死ぬ」だから、完成させてしまったら、深馬は死んでしまうのかなって...だから、完成させる真未は"死の象徴"なのかなと思った。

 

ちなみに、「建物は完成と同時に崩壊が始まる」と言われているらしく、わざと1本だけ柱を逆さまにしたり、姫路城では家紋の「アゲハ蝶」が「逆さアゲハ」になっているところがあるらしいです。

 

で、NEWSの新曲「BURN」では、セットにビニールシートを貼ることで未完成を表現していて、その話を聞いた加藤さんはめちゃめちゃ食いついてるんですよね(メイキング)

あと、加藤さんの最新ソロ曲「Narrative」では「未完成の声届けて ページを開いていく」という歌詞がある。

そして、その後、セットの中に落ちていくんだけど、その落ちた先がシゲアキソロ曲「あやめ」ではという説があって。

NEWSのライブ自体が4部構成で、その中での加藤さんのソロ曲が「あやめ」→「氷温」→「世界」→「Narrative」と繋がっていて、最後「Narrative」から「あやめ」に戻るというのは加藤さん本人が言っていて。

 

ということは、やはり"完成"させてはいけなかったんだろうなと。

もちろん舞台の「染、色」としてはこれで完成なんだろうけど、観た人によって解釈違うし、同じ人でも観るたびに感じることは違う。

Aぇのメンバーも「2回観たい」って言ってたもんね。(実際ほとんどが2回観てるし)

だからやはり「染、色」という作品は完成したけど未完成なんだと思う。

 

"答え"じゃないけど、感じることは観劇者に委ねられてると思う。

加藤さん自身、実際舞台を観て「思ってたのと違う」ところがあったらしいけど、それはそれで楽しかったって言ってるし、正門くんも「加藤くんなりの答えがあるだろうし、僕なりの答えもある」と言っていたので、そこは脚本家と主演でもすり合わせてはないのかな?と思うし、それでいいのかなとも思う。

 

加藤さんもよく、ソロ曲とか小説とかで「アレってこういう意味ですか?」ってファンに聞かれた時に「どうでしょうね?もちろん僕の中で思い描いてるものはあるけど、それは言わない。観た人、読んだ人が感じたことが正解」って言うし。

 

だから、下手に考察するのは野暮なのかなぁと思い始めた今日この頃です。

 

ただ、やっぱり不思議な点というか、気になる点、印象に残ったセリフもあるので、1つ記事を分けて書こうと思います。

染、色備忘録⑥(ネタバレ有)

演出について

 

私は元々舞台好きで、中学生の頃から劇場通いをしていたし、実際勉強もしていたことがあるんだけど、ジャニーズの舞台は瀬戸山さんが演出された「グリーンマイル」が初めてで。

その時、ものすごく衝撃を受けた。

グリーンマイル、初日は原作は読まず、映画だけ見た状態で行ったんだけど、やっぱり電気椅子やコーフィの不思議な力をどう舞台で表現するんだろうって謎で。

でも実際見たら、それが見事に表現されていた。観客は立会人になってた。

プロジェクションマッピングの使い方もすごく綺麗で鳥肌がたったし、ポールの苦悩を表現するところとか、場面説明をポールの長台詞で見せるところとか、舞台だからこそできるグリーンマイルになってた。

そして最後の「このグリーンマイルは長すぎる」で鳥肌が止まらず、終わってからもずっと震えてた。

この衝撃を超える舞台にはもう出会えないじゃないかなって思ってた。

 

それが出会っちゃったのが染、色だった。

グラフィティアートをプロジェクションマッピングで表現するっていうのは情報で知っていたけど、知っていても圧巻だった。

深馬と真未が生き生きと描くから、尚更その映像もキラキラと輝き出して。

そこ以外でも、スクリーンを使ってグラフィティアートを表現するシーンがたくさん出てくるんだけど、そこがすごく美しい。

そしてそのアートが、飛び出してきそうな気迫もある。

今回の演出、どこまで加藤さんが脚本に書き込んでて、どこまで忠実に再現したのか。どこからが瀬戸山さんの案なのかわからないけど(戯曲本ください←)、この美しさは瀬戸山さんの力なんだろうなって。

 

いわゆるラブシーン?とか、最後の1人でのシーンとかも。

1歩間違えばエグさが出てしまうというか、生々しくなり過ぎそうなところも、すごく綺麗に、でも綺麗なだけじゃなく、苦しさは心には迫ってくる演出にして、舞台という生物な場所で具現化したのは本当にすごいなと。

 

もちろんそれを演じ切った正門くんもすごいんだけど。

 

グリーンマイルで、瀬戸山さんの演出が大好きだと思った。

染、色を観て、また更に瀬戸山さんの演出が大好きになった。

これから、ジャニーズ関係なく、いろんな舞台が観てみたいって改めて思った。

 

このコロナ渦で舞台(エンタメ)業界は本当に悔しい思いをたくさんしてきて。

その時に瀬戸山さんがたくさん活動されていたのも、ツイッター等で拝見していて。

 

本当に演劇に対する愛にあふれているからなんだろうなって。

瀬戸山さんと加藤さんがタッグを組んだことがあって良かった。

信頼しあえる関係になってて良かった。

主演と演出のタッグも最高だったのに、クリエイターとしてのタッグまで見れて、更にその主演が正門くんて幸せすぎた....

3人の対談があるパンフレットは家宝です。

 

瀬戸山さんの加藤さんの作品に対する愛が本当に嬉しくて。

だからこそここまで具現化してくださったんだって。

そして正門くんの成長に繋がる演出方法でもあって。

 

染、色がこのカンパニーで本当に良かった。

素敵な作品を届けてくださって本当にありがとうございます。

どうか、どうか無事に、誰1人欠けることなく、大千穐楽を迎えられますように...

 

染、色備忘録⑤(ネタバレ有)

キャストさんの感想(北見・原田・滝川)

 

北見(松島庄汰

実はキャストが発表された時、1番気になったのは北見だった。

松島くんが「思わず声に出してしまうような生々しい会話の連続」って言ってたのが加藤担としてすごく気になって。

更に深馬に嫉妬と憧れを抱く役なんて、シゲシゲしいの確定じゃん?←

で、実際見て、すごく良かった!!!

いわゆる大学生感が強くて、女の子にマメなところとか、そっちばっかり集中して、肝心の作品作り疎かになっちゃってる感じとか。

でもそれも、北見なりの葛藤があって、深馬と仲良くなったからこそ、憧れもするけど嫉妬もする。だから余計に自分の作品作りが辛くなる。

その気持ちが痛い程伝わってきて、北見に何回泣かされそうになったことか...

杏奈にはちゃんと真摯に向き合ってるところとかも、いわゆる大学生で遊んでる感じもするけど、でもちゃんと"人"を見て"心を感じられる"人なんだなって。

だからやっぱり美大生で芸術家だったんだって。

 

松島くんのツイートやインスタもずっと見てるんだけど、めちゃめちゃ可愛いからそこのギャップにもやられた!

北見はカッコイイイメージだけど、松島くんはめっちゃ可愛い...マリーのことをマリエとか、マチネのことをマネネって誤字ってたのに自分で突っ込んでるところとか。

北見とはまた違った松島くんのお芝居も見てみたいなぁって思ってます...!!

 

原田(小日向星一

原田は、観にいくまで1番想像できない役だったんですよね。

まさかこんなに難しい役だったとは....

美大生としてはもちろんだけど、学生としての悩みをいっぱい持って、若さ故の弱さも感じる役どころで。

たくさん悔しい思いをして、でもおかげで楽しい思いもできて....でも、うまくいかないことがたくさんあって....

いろんな闇を抱えてるけど、その闇を感じさせない演技はすごいなって。

途中で、その闇が見えた時のギャップに慄いた。

そんなにいろいろ抱えて、苦しんでたんだって....

そこを自然に演じていた小日向くんは本当にすごいなと....

ちょっと、原田についてはまだ掴みきれてないところがたくさんあるから、また私の中で噛み砕くことができたら改めて感想を残したいです。

小日向くんもツイッターよく書いてくれてるの本当にありがたいし、小日向くん自身の温かさとかが伝わってきて、だからこそ原田で良かったなぁって、染、色のカンパニーにいてくれて良かったと思う毎日です。

 

滝川(岡田義徳

解釈のところでも書いたけど、本当に滝川も異質だった。

滝川が出てきた瞬間に空気が変わる。

すごくいい先生なんだよ。優しくて、生徒のことしっかり見てて。

けど、異質なの。怖いの。なんでこんな不思議な気持ちになるんだろうって、中盤までわからなかった。

けど、真未が疑ってるのとかを見ると「やっぱりおかしい」って気付かされて、そして滝川がPolydactylyのフリをしてたということがわかる。

(ただ、ここは時系列がちょっと難しいんだよね。。。1回じゃ掴みきれなかった)

その時の滝川の深馬に対する嫉妬。悔しさ。それがまさしく"芸術家"のそのもので。

そりゃそうだよね。自分だって目指してて、やりたくて、表現したいことがたくさんあって。

そんな中で先生として生徒を見て、でもその生徒から本気を感じられなかったりしたら、そりゃ荒れる。

そしてその隠れた怖さを、深馬(真未)は感じ取ってたから、こちらから見ても異質感はあったんだろうと。

でも異質だと思う自分がおかしいとも思わされる、絶妙なバランス。

岡田さんが入ると空気が変わるって言ってたのはこういうことだったのかと。

テレビでよく拝見していた役者さんだったけど、生で観る演技はまた全然違った。

岡田さんがいたことで、カンパニーの空気も締まったというか、優しく包み込んでくれて、頼ることもできる先輩役者さんがいるのはすごく良かっただろうなって。

岡田さんが染、色のカンパニーにいてくださって本当に良かった。

染、色備忘録④(ネタバレ有)

キャストさんの感想(真未・杏奈)

 

真未(三浦透子

原作の美優のポジションかと思いきや、全く別のポジションで。

登場の瞬間から異物感を覚える存在感。

狂気にも見えるけど、可愛くて、深馬が惹かれるのも納得で。

それこそ「無邪気で色っぽかった」のかも。

そして、原作にもある深馬がスプレー缶を隠してしまうシーン。

あそこは本当に「子ども」のようで。

それまでは、いろいろ知ってて、でもだからこそ「自由」(これもキーワードだよね)に生きてるように見えるお姉さんなんだけど、あの瞬間は子どもになるの。あまりにも原作を読んでイメージしたシーンがそのまま再現されていてビックリした。真未と美優は別物なんだけど、だけど重なって。やっぱりこれは「染色」なんだと思った。

でもここ以外は、やっぱりお姉さんなんだよね。無邪気で、可愛いけど、お姉さん。

その塩梅が絶妙だった。

深馬が真未とそういう関係になって、胸に顔を埋めるシーンがあるんだけど、エロさを感じるというよりは、綺麗な色気はもちろんあるんだけど、同時に包容力があって、やっと深馬は甘えられたのかなって。

エロに持っていくわけじゃなく、美しく、でも関係性をしっかり表す絶妙な空気感は、透子ちゃんだからこそ出せたんだろうなって。

所属事務所もユマニテさんだし、演技派なんだろうとは思ってたし、映画でのお芝居もすごく好きだったんだけど、生で見たら尚更圧倒されて、すごく引きこまれて大好きになった。

他のお芝居ももっとたくさん見てみたいな。

あ!あと、深馬とのダンスシーンも!息ピッタリで、描くのが楽しい!!って気持ちが全面に伝わってくるんだけど、でも色気もあって、オーラもあって...すごく良かった。

原作の美優とは違う真未という難しい役。透子ちゃんが演じてくれて良かったと、原作ファンとして強く思いました。

舞台版が美優じゃなくて真未で良かった。透子ちゃん演じる真未で本当に良かった。

 

杏奈(黒崎レイナ)

唯一原作と名前が変わってない杏奈。

レイナちゃん、正門くんの次に雑誌に取り上げられる機会が多くて、そこでレイナちゃんが杏奈のことをいろいろ話してくれてたんだけど、原作からは想像できないくらい切ないポジション、苦しいポジションになってて。

どんな子になってるんだろうってドキドキしながら観に行った。

マジで本当に切なかった!健気で、いい子で、可愛くて。でもちょっと不器用で。

原作の杏奈は世渡り上手だし、いい子はいい子なんだけど、結構積極的だし。

だけど、舞台の杏奈は深馬と2ヶ月会えなくても我慢してて。でも会いたいから、学校の近くに行ってみたり、差し入れだって準備してたり。

それが男性からしたら重く感じられるちゃうかもしれないけど、でも、大学生くらいの時ってそんな風になっちゃうよね。女の子は特に。

深馬くんが大好きで、大好きだから邪魔にはなりたくなくて、でも側にいたくて。

切ない!!!!

でもその絶妙なバランス。切ない。健気。可愛いって思わせるバランスだったのは、レイナちゃんだから出せたんだろうなって。

1歩間違えば、女から見ても「重すぎるやろ!」ってなったり、「あざとい」って見えてしまってたと思うし。

あと、瀬戸山さんから声色を意識するように言われてたらしいんだけど、そこも見事にクリアしてたと思う。表情とかも。

やっぱり深馬に会う時と、北見や原田に会う時と、滝川教授と話してる時。ちょっとずつ違って、そこがリアルだった。

レイナちゃん自身、舞台が好きでずっとやりたかったって言ってたみたいだから、これからどんどん舞台もやってほしいな。

とにかくめちゃめちゃ可愛かった。杏奈幸せになってくれ...!!!

染、色備忘録③(ネタバレ有)

キャストさんの感想(深馬)

深馬(正門良規)

想像以上だった...!!!正門くんが出てるドラマは全て見たし、毎週グレショーでいろんなお芝居を見て、どんな役でもしっかり憑依させられるタイプの役者さんだと思ってたんですが、それでもここまでだとは思っていなかった....

深馬、北見、原田の3人は滝川先生の部屋に居座ってるんだけど、そこに、杏奈が差し入れにお酒持ってきて、みんなで飲んでるシーンがあって。そこがめちゃくちゃ"リア充大学生"って感じでビックリした...美大生だし"チャラい"って感じではないんだけど、この男好きになっても幸せになれんなって...「彼女と2ヶ月会ってない」ってのもしれっと言っちゃうしさ。

 

(余談なんだけど、その飲んでるシーンは音楽流してセリフ無しで進んでいくんだけど、その音楽の使い方もシゲシゲしかった。ソラシゲの音楽部かと思った←)

 

で、リア充感満載なんだけど、だからこそ葛藤してるところもきちんと表現していて、その対比がまず良かった。

周りから評価されて、でもその評価も下がっていってることに気づいていて、何より自分が納得していなくて。

それが、真未と出会ったことで、目がキラキラしはじめて。色が変わって。オーラも別人のようになって。その生き生きとした演技がすごく良かった。

 

コンテンポラリーダンスも。正門くん、元々ダンスには苦手意識あると思うけど、あのダンスは正門くんじゃなきゃできなかった。あの、深馬くんとして、グラフティを描く表現としてのダンスは、正門くんにしかできないって思った。すごく自然で、軽くて、でも色気があって、アーティスティックなオーラもあって。

 

あと、北見と喧嘩したり、真未に怒ったり、杏奈にイラッとしてる時のヤバさ加減も絶妙だった。

 

そしてラストにかけては、深馬に心を鷲掴みにされた。鬼気迫る演技。こちらに息つく暇を与えない。

本読み初日に加藤さんから「客席の背もたれからお客さんを引き剥がす勢いで」ってノルマを課せられたらしいんだけど、そのノルマを見事に達成してた。

だって私、背もたれから離れないように必死で、翌日全身筋肉痛だったから(笑)

 

正門くんって"狂気"が似合うなぁって今回改めて思った。

グループでのポジション的に、普通というか、俯瞰で見れる役が合いそうだし、もちろん合うんだけど、だからこそ"イカれた"役が映えるというか。

声色とかセリフの言い方もそうなんだけど、目の色とかオーラとかが変わるし、"正門良規"としての要素が消えて、完全にその役(今回なら深馬)が憑依していて、正直怖いくらいだった。

あの正門くんの独特の笑い方も、"狂気"を表す手段になってた。

 

何人かこの感想もみたけど、加藤さんも憑依してるなぁって感じた。

加藤さんというか、加藤さんの作品に込めた思いが、憑依してて、いい意味で似てて。

そりゃ、スタッフさんも正門くん推すよねって。

というか、深馬は正門くん以外演じられなかったと思う。。。。それか本当に10年前の加藤さんか(笑)

いや、加藤さん、10年前だったらどうなんだろう....ちょっとイメージ違うかも...

それくらい、深馬を物にしてた。

 

そして、これからの正門くんのお芝居が更に楽しみになった。

もっと社会派とか、サイコっぽいのもやってほしいなって。

胸キュン系とか、DIVERみたいな純粋で可愛い役もいいけど、作品的に重めの物に出てるのが見たいなぁって。で、観てる人の心を引きずる役をやってほしいなって。

あとはグリーンマイルのポールみたいな役とか。

グレショーも、コメディ系ばっかりじゃちょっともったいないなって少し思っちゃった。

これはAぇ全員に言えることなんだけど。

関西だし、Jr.だから、コメディ系とか可愛い系がメインになるのはわかるんだけど、彼らならシリアスな作品とか、社会派な作品もできると思うし、それをやることで成長に繋がると思うんだよね...

今回、転球さんの作品が不思議な世界観で良かったなぁと思ったけど。

あとはアリーズも。独特な世界観大事だなって。

 

だからこそ、ガッツリ、笑いの要素ないくらいの重たい作品もしてほしいと、強欲オタクは願ってしまうんよね...それができる人たちやと思うからさ...

 

正門くんは確実にそっちの方が力発揮するって、染、色を見て思った。

染、色の主演が正門くんで良かったって。

 

加藤さん、初日見たあと、すごく優しい顔してた。満足そうな顔してた。

原作者であり、脚本家である加藤さんがあの顔したの、あのご満悦な表情したの、正門くんだからだって思った。加藤担として。原作ファンとして。

 

どうかこれから、正門くんがいろんなお芝居に挑戦できますように。

染、色を終えた正門くんがどこまで成長するのか、本当に楽しみ。

 

深馬くんとし生きてくれてくれてありがとう。

染、色のステージに立つことを楽しんでくれてありがとう。

アイドル正門良規が大好きなのは大前提として、役者正門良規も大好きです。

染、色備忘録②(ネタバレ有)

初日(5/29)を観た上での私的解釈

加藤さんの作品は、答えを読者(観客)に委ねるところも醍醐味だと思っているので、それをいいことに超勝手に、私的な解釈をした上での感想を残します。

 

深馬と真未の衣装

ポスタービジュアルが公開された時、深馬と真未のパーカーが色違いなことで、私の中で2つの可能性が浮かんでて。

 

①HANDS(舞台ではPolydactyly)として2人で生きていくような設定

②深馬と真未は同一人物...というか表裏だったという設定

 

だったんだけど、結果、②が近くて。

この時点で「シゲシゲしい!」ってなるよね(笑)

 

加藤さんのソロ曲に「氷温」というのがあって。

この曲、曲だけ聞いたら普通?の失恋ソングなんだけど、ライブでの演出がまぁクセ強で。

初めて観た時は「.......は?」ってなったし、考察するのは無理だ!お手上げ!!ってなったんだけど、何回か見るうちに、世界が見えてきたような気がして。

この考察自体間違ってるかもしれないんだけど、そこは誤読の自由ということで。

私がその時に残してた考察がこれ↓

 

【これは男女の恋愛ではなく、自分ともう一人の自分のお話なのでは?ということです。
男性と、男性の中に眠る女性性の話では?と感じました。
最初その感じ方をした時は、「自分の中にある女性性との決別」を恋愛(失恋)ソングで表しているのかと思ったのですが、その後もう一度曲を聴きながらじっくり考えると、
「自分の中にある女性性への気づき」→「融合」→「男性でいたころの自分との決別(=失恋)」なのかな?とも感じ、実はまだ自分の中でも完全に掴み切れてはいませんが、どちらにしても「も多様性の要素が入っているのでは?というのを強く感じました】
 
読み返すと、「男性・女性」で分ける必要は無かったというか、差別的にも聞こえそうな表現になってるかな?って思ったんですが、そういう意味ではなくて...なんだろう....
加藤さん自身「ヒールが女性の象徴になってるのがなんかね」って、カカオ(ソロ曲)でヒール履いて踊った時に話してて。
そういう固定観念みたいなものをぐちゃぐちゃにしたい的なことも言ってたので、そういう意味での融合、固定観念に縛られてた自分との決別なのかなって....
(って、書いてて気づいた....染、色も男性(深馬)と女性(真未)なんだよね...
で、これもカカオの時に言ってたんだけど、「無邪気さと色っぽさ」とか「男性と女性」「大人と子ども」みたいな相反するもの、アンビバレントなものがいっしょくたになった世界観にしたかったって言ってて....え....染、色、カカオ的な要素もある....?正門くんにやってほしいシゲアキソロ、1位が「世界」で2位が「カカオ」なんですが←)
 
1人の中に2人の感情があるというか、表と裏があって、そこがごちゃ混ぜになって苦悩や葛藤を表したり、融合したり決別することによって成長するっていうのは加藤さんの作品でちょこちょこ感じることがあって。
 
染、色はその最たる物だったのかな...と。
だから原作の美優と舞台の真未は全く別のポジションで。
だから真未という名前で。そこにも意味があって。
「恋愛」の話というよりは、「学生や芸術家の葛藤」をメインにしたお話に変えたんだなって。
 
だから、本当に真未は異質だった。
出てきた瞬間から異物感があった。
原作の美優は"芸術家の女の子"というイメージだったけど、真未はこの世には存在していないような。
けど、スプレー缶隠されるシーンとかはそのまま残っていて。
だから途中まで掴みきれなくて、でも、観ていくうちに「やっぱりこれおかしいぞ」って気づく瞬間があって。
そしてラストにかけて一気に伏線が回収されていく。加藤さんの十八番とも言える手法なんだけど、それが小説でもソロ曲でもなく"舞台"という形で具現化されたことにめちゃくちゃ驚いた....
 

滝川先生の存在

最初キャストが発表された時「先生必要!?」って思ったんですよね。実は。

原作には出てこないから。(北見や原田もいないけど、同級生は出てくるので)

そしてこのも、登場した瞬間から違和感があった。

凄く素敵な先生なんだけど、なんとも言えない怖さがあって。

でも、この人を「怖い」と思う自分の感性が間違ってるんだろうなって思わせてくる演出で。

....してやられたと思った。

 

ここのラストの時系列が、1回見ただけじゃ掴みきれてないからうまく言えないんだけど、深馬から見たら、やっぱりどこかで怖さを感じていたのかなって。それが伝わってきてたのかなって。だから真未はずっと教授のこと疑ってたんだよねって。

 

この先生の存在が「芸術家の葛藤」を描く上でものすごくキーになってた。

原作では、やっぱり"美大生"に焦点が当たっていたけど、舞台は、先生がいることで、先生も葛藤していたことで、学生だけの話じゃなく、芸術家の話になっていた。

だから年齢関係なく、共感もしやすかったのかなと。

"何者でもない自分"に悩むのって、実は大人になってからの方がたくさんあると思うし、夢を"諦めた"のか"諦めたかった"のか"諦めざるを得なかった"のか。

私自身もエンタメで生きたかった人間だからグサグサと刺さった。

 

杏奈のポジション

杏奈がこんな切ないポジションになるとは思ってなかった...

原作では杏奈も結構軽いというか、世渡り上手な女子大生ってイメージだったけど、めちゃくちゃ苦労してて、めちゃくちゃいい子で、何回「深馬じゃなくて北見にしとけーーー!!!」って思ったか←

でも深馬がいいんだよね。深馬が好きなんだよね。。その不器用で健気な感じが、大学生の恋愛感を出してて凄くよかった...北見も切なかったしね....深馬くん罪すぎるだろ()

で、ラスト、原作にもあった、「今から会えないかな」って杏奈に電話するシーンがあるんだけど。

これ、救いでもあり残酷でもあるなって。

原作は美優は自分の道を進んで、市村はそこには行けなくて。

学生ではなくなる"寂しさ"と似た寂しさというか、美優と2人でいたあの日々への未練みたいな思いや、美優と一緒に行っていたら...というモヤモヤが、あのシーンに繋がっていて...そこで最終的に杏奈のところに行くのも残酷だとは思うんだけど、でも美優は美優の道を進んでくれてるから、市村も美優のことは忘れないけど、でも杏奈を選んだんだって思えた。

けどさ!舞台の真未は実在していないわけで。真未は深馬の中にあった人格なわけで。

それに気づいた深馬が、そこで最後杏奈に会いに行くのはちょっと残酷すぎやしないかと...

杏奈はずっと深馬のことが好きで、側にいたわけだから、救いではあるんだけど、この先この子達は幸せになれるのかな...って。

しかも原作と違って北見と原田はもう社会人になっていて。深馬は(わざと)留年してて。

まだまだ葛藤続くよなって...今このタイミングで真未の存在に気付いて...あれ、でもこれを書きながら、最後真未は白い衣装で出てきたよなって....で、あの画角で、桜も降ってたことは、しっかり決別(もしくは融合)できたってことなのかな?とも思いはじめた...

えーーーー。1回じゃ全然咀嚼できてなかったし、私のこのポンコツ記憶力なんなの。

 

あの桜のセリフ、加藤さんのソロ曲「星の王子さま」にも「秋に咲いた不時の桜は、次の春も咲けるだろうか」って出てくるんだよね....って思って、季節外れの桜について調べたら、

「何らかの理由で葉が機能しなくなり、十分な休眠ホルモンが花芽に届かない」

「一度涼しさがおとずれた後に春のような暖かい日が何日か続くこと」

この2つの条件下(ホルモンバランスの崩れ)で起こるらしい...そして、その木の桜も来春ちゃんと咲く....

 

 

 

 

 

 

 

戯曲本ください(n回目)

 

 

 

 

深馬が葛藤しているシーン

深馬が葛藤して、悩んでるシーンの演出で、円を描くようにグルグル歩き続ける(途中から走る)シーンがあるんだけど、あの演出、グリーンマイルでもあったよね...?

ポールが葛藤して、悩むところで、ただひたすらグルグル歩いてるシーン....

ポールはポールだったし、深馬も深馬だったんだけど、自然と重なってしまってビックリした...グリーンマイルでも特に印象的なシーンだったんだよね....

あれは意図的なんだろうか...瀬戸山さん演出の他の作品ももっとちゃんと観てみたいな...

 

他にもいろいろ考えたいところはあるけど、そこはもう少し時間を置いて、落ち着いて考えたいと思います。

勢いのまま考えても答え出ないわこれ......

 

それぞれのキャストさんの感想も改めて書きます。

本当はまとめて書きたかったけど、ここに入れちゃうとグチャグチャになっちゃう(笑)

でも本当に早く書かないと...1週間経って、衝撃は鮮明に覚えてるのに、細かいシーンは忘れちゃってるというか、考えすぎて、観たものと聞いたものと読んだものがごちゃごちゃになり始めてる....

 

染、色備忘録①

染、色に対するクソデカ感情

加藤さんの全てが大好きだけど、その中でも特に頭の中が大好きで。脳みそ担な私。

昨年染、色が決まった時点で、絶対逃せないと思った。

Aぇ! groupのことも元々知ってはいて、Aぇ風とか楽しく見ていて。

その頃は正門担にはなっていなかったけど、「加藤さんに似て思慮深い子」とスタッフさんに勧められた話を聞いて、改めて正門くんのことを調べると沼しか感じなくて。

でも、染、色出の正門担になりたかったから、染、色を観て落ちる準備をしていて←

それがまさかのコロナによって中止。その時の正門くんの動画での真摯な姿に胸を打たれ、我慢できずに正門担になり。

 

尚更、「染、色」が諦められなくなった。

自担の初脚本作品と自担の初単独主演が同じ舞台だなんて、そんな奇跡もう一生ないから。

そこからずーっと染、色の亡霊をしていて。

何回言ったか分からない「染、色」が観たいって。

 

そんな中、昨年末、起きたら世界が変わっていた。

染、色復活上演の文字

朝からボロボロに泣いて、ネットニュース全部読み込んで、ずっと震えてて。

まだ夢の中なんじゃないかと思った。

 

夢じゃないと分かってからは、当落に震える日々も始まった。

なんで去年当たった権利残しといてくれないの!!って暴動起こしそうにもなった←

しかも当落日はSTORY城ホの日。情緒死ぬかと思った()

なんとか無事に行きたい公演を確保することができて。

 

そこから、染、色に関する情報はできる限り逃さないように、加藤さんのも正門くんのも雑誌はほぼ全て読んだし、レイナちゃんのもチェックした。

瀬戸山さんをはじめ、スタッフさんやキャストさんのツイッターもチェックして。

 

 

情報見れば見るほどわかんねー!!!

 

 

ってなった(笑)

「かなり原作と変わっている」というのは分かった。

なんなら加藤さん本人が「原作ファンは怒るかも笑」って言っていたし。

でもじゃあなんで杏奈だけ名前変わらなかったんだろうとか。

杏奈と美優の苗字ってキーになってたけどどうなるの?とか。

まずまず深馬って苗字?名前?とか。

情報が出る程に頭抱えて(笑)

 

ただ、今回は"原作者と脚本家が同じ"という最大の安心材料があったのが救いだった。

だから、どれだけ違う話だったとしても、それは新たな「加藤シゲアキ作品」として受け止められるだろうと。

 

で、実際に観た結果。

確かにめちゃめちゃ変わってる。

けど

大事になシーン、染色の良さもしっかり残っていて、その上で新しい"染色"が、"染、色"が広がっていた。

 

こんなのずるいよ。解釈違いが起きないどころか、大好きな作品の新たな一面を、原作者が見せてくれるんだもん。

「この脚本誰書いたの天才〜〜〜」

なんて次元じゃねぇ。そんなテンションにはなれねぇ。

 

そして今回観た上で感じたのは、加藤さんが脚本で良かったのが大前提で、その脚本を愛して、真正面から受け止めて創り上げてくださった瀬戸山さんやキャストの皆さんの力も凄く大きかったということ。

加藤さん自身、「自分が演出したら広がりが生まれにくくなる」と言っていて。

確かにそうだなと思った。

加藤さんが出演したり、演出をしていたら、それはそれで面白い作品になっていたと思うし、私は大好きになった自信があるけど、"理解されにくい作品"になっただろうなとも感じた。

 

瀬戸山さん演出だから、ここまで綺麗に表現され、具現化されたんだろうと。

そしてキャストさんもこれ以上はなかったなと。

深馬を演じられるのは正門くんしかいないと思ったし、透子ちゃんの真未も他の人では想像できない。

もちろん、松島くんの北見も、小日向くんの原田も、レイナちゃんの杏奈も、岡田さんの滝川先生も。

 

それぞれのキャストさんについては、また記事を分けて書きたい。

まずは、私的な解釈を、初日だけ観た上での解釈、感想をこの後残します。