私なりの染、色

ここからは、染、色を観た上で、疑問に思ったセリフやシーンを羅列していきます。

 

キマイラ

まず、グラフィティはキマイラ(キメラ)って説。

これは私もそうかなって思った。

だとすると、「染、色」というタイトルには、実際に「染める」という意味と、「染色体」の意味両方がかかってることになるよね。

原作は「染める」の方だけだったと思うし、戯曲ができた時、加藤さんは全然違うタイトルをつけようかとも思ったらしいんだけど...でもこうなると「染、色」以上のタイトルはないよね...

あと、最後のシーンではグラフティから色が消えてたのって....

 

カラースプレーで染めるということ

真未はカラースプレーで腕を染めるんだけど(これは原作の美優も同じ。なんなら加藤さんが実際にそういう人を見かけてこの話は生まれた)、この染めるという行為。

深馬に「なんでわざわざ汚すの?」と聞かれて「汚す?どちらかというと洗ってる」って真未は答えるんだけど、これ、私には"自傷行為"に見えたんだよね....

う〜ん...."自傷"っていうとちょっと言葉がキツイかな....

自傷というと、リストカットが1番有名かなと思うんだけど、リストカットするにもいろんな意味があるんだよね。

実際「死ぬ」ために切る人もいれば、「自分は生きている」と確認するために切る人もいる。(余談ですが、私が一時期後者でした。自分の血を見たら安心した。それこそ真未と同じだった。洗うとまではいかないけど、浄化してる感覚だった。だから、真未がスプレーを隠された時に発狂した気持ち、痛すぎるくらいわかって、あの頃の気持ちを思い出して涙が止まらなかった。真未のあの狂い具合、凄かったし。あのシーンは、初日より後半の方が化けてて驚いた。初日でも十分だったのに、まだここまでくるんだって)

あと、「デザイン」として切る人も知ってる。

で、加藤さん、昔「NEWSな2人」という番組で、そういう経験がある人達の話を聞いたことがあるんだよね。

私が住んでる地域では放送がなかったからちゃんとは見れてないんだけど、その時にいろいろ話は聞いていたのかなと。

加藤さんの小説、NEWSな2人で得た知識を広げてることも多いし。(チュベローズの孤独死やオルタートのマッチングアプリ等)

 

滝川の行方

入院シーンでは「滝川はクビになった」って表現なのに、居酒屋のシーンで深馬は「滝川は捕まったから居なくなった」っていってるんだよね。

どちらも同じ意味っちゃ同じ意味かもしれないけど、わざわざ表現を変えてるということは何かあるはずだよね...

そのあと、深馬は自分が絵を壊したことや、真未がいないことに気づくわけだし。

滝川がフランスに行く話をしたのは深馬が入院している間。

(ちなみに原作の美優が行く先はロンドン)

そして居酒屋シーンの最後、北見は「まだダメだったか」って言ってるんだよね...北見や原田は何をどこまで知ってるんだろう...(ここは配信でじっくり見たい)

 

作品を完成させるということ

作品を完成させられない深馬に対して、真未は「完成させたら鑑賞者にしかなれないもんね」というこという。

「染、色」の戯曲ができてから、加藤さんは何度も「観劇者の立場で」「自分の手は離れた」と言っている。(と言いながら大阪まで見学来てたけど←)

ここも、加藤さん的な感覚というか、思いが込められてるんだろうなと...

(その後雑誌で、脚本家は1番外野というようなことも言っていた。最初はプロジェクトの真ん中だけど、脚本ができ上がったら1番外で寂しかったって。幸せだけど苦しかったって)

 

真未の部屋のシミ

真未の部屋に、上の部屋の人がこぼしたと思われるシミがある。

それを消すために、深馬に肩車してもらって、ピンクのスプレーで「mm」という形で消す。

そのシミ。

深馬が自分で絵を壊したことを知り、今までのグラフティも自分が描いていたことに気づき、最後の頼みの綱で真未の部屋に行った時、その「mm」は残ってる。

そこで真未に電話をかけるけど、繋がるわけはなく...

で、最終的に、杏奈に電話が繋がった瞬間にそのmmは消えるんだよね。

........だからというところをうまく言葉で表せないんですが()

 

杏奈の名前

これ、原作読んだ人はみんな気になってるよね?杏奈だけ名前が変わってないこと。

てっきり原作と同じようなポジションだからかと思いきや性格全然違うし。苗字も変わってるし。

で、私も杏の花言葉とかいろいろ調べたんだけど、「染、色」の杏奈には合うけど、「染色」(原作)の杏奈には合わない気がするんだよね...

だから今度は名付けとかでも調べてみたら、杏奈って基本は春生まれのイメージだけど、秋イメージでもあるらしいんだよね。銀杏とかから。

 

で、桜の話

前回も書いたけど、「秋に咲いた不時の桜は次の春にも咲くのだろうか」ってこと。

やっぱり「秋」と「春」、そして「花」に関係を持たせてるというか...

ごめんなさい。ここは見切り発車で書き始めてしまった←

加藤さん、花言葉とかもよく知ってるし、よく使うし、名付けに関しても、人名で調べてたりする人だから(オルタネートにちゃんって子が出てきて、"キラキラネーム"って言われた時に、ちゃんと人名であるんだけどねって言ってた)、ここもちゃんと意味があるんだろうなって。

うん。普通ブログってその答えを書くところだよね。気づけないおバカでごめんなさい。

 

深馬

名前といえばなんだけど、深馬って名前も不思議だよね。

杏奈が深馬くんって呼んでるし、シンバとかかってるだろうから下の名前かなとは思ってるんだけど...だとすると。

去年、加藤さんはラジオで「名前を変えたとこにももちろん意味はあるけど、正門がやるのは市村ですよ〜」って言ってるんだよね。

え?市村と深馬、性格もかなり違うと思うのですが...???←

やっぱり市村深馬なのかなぁ...

 

杏奈の家にきた深馬

杏奈の家に鍋の材料とか持ってきた深馬が「ただいま〜」っていうの謎だよね。

入院したあとも、家に帰らず杏奈の家に入り浸るっていうのも原作と違う点。

原作の市村も熱で寝込むけど、家で寝込むから、杏奈が泊まり込みで看病してくれるんだよね。

....うん。いやだから答え気付いてからブログ書けって話だよね()

 

ゴッホ

絵に詳しくなくて申し訳ないんですが、加藤さんよく"ゴッホ"を出すなぁって。(ソロ曲とかでも出てくる)

ただ「有名だから」って理由だけではないと思うんだよね。

今回滝川が深馬に渡した本もエゴンシーレの本。

エゴンシーレはゴッホにめちゃめちゃ影響を受けている。

「悲劇」や「狂気」といったイメージを照らし合わせて"酔っていた"とも言われている...

深馬はいろんな詞をモチーフにしながら絵を描いている。

その詞を真未には「意味わかんない」と一刀両断される。「耳障りのいい言葉を並べてるだけ」と。「なんだか分からないけど心地がいい」という深馬に、「分からない表現や難しい言葉に"酔ってるだけ"」と返される。

 

結局私たちも深馬のように、難しいことに"酔ってる"だけなのかもしれない。

もちろん酔うことは気持ちいいし、そこで見つけられることもある。知る感情もある。

だけど、そこで考えて出た答えが"正解"なのか。

自身にとっては"正解"だとしても、人にとっては"正解"ではないよね...なんて。

 

本当はキャストさん達についても、お芝居についてもいろいろ書きたかったんですが...それは配信も全て終わってからになるかな...

 

遅くなったとしても、感想はしっかり残しておきたいと思っています。

ちなみに今回はほとんどの人の考察を読まずに書いています。

考察読みたい気持ちもあったんですが、そこで自分の感情が左右されるのも嫌で。

まだ配信も残ってるし、できる限り、自分で気付ける範囲までは気づきたいなと。

本当は戯曲本も出して欲しい!!!ト書きたくさん書いたらしいから、そこにもヒントはたくさんあるだろうし。

 

でもそれでも、加藤さんの答えと正門くんの答えは違うかもしれない。

それなら、謎は謎なまま、私自身が感じたこと、受け取ったメッセージを大切にするのも、観劇の醍醐味かなと思って。

 

配信見終わったら、いろんな方の考察読ませてもらうかもしれないし、このまま読まないかもしれない。

加藤さんも、千秋楽終わったらいろいろ話したいって言ってたから、それを待ってもいいかなって。

だからといって、加藤さんと答えが違ってもそれはそれで加藤さんも受け入れてくれると思うし。

 

余白がある演劇の面白さを改めて思い出させてもらったのが染、色でした。

やっぱり"考える"って大事。頭がいいとか悪いとかじゃなくて、何が自分に引っかかるか、なんで引っかかったか。そこを考える面白さ、そしてそこを考えるから成長できるということを、この歳でまた気づかせてもらえたことに本当に感謝です。

 

そういえば、展覧会のシーンで、深馬が「去年の作品とどっちがいい?一昨年とは?」って詰め寄るシーンで、北見が「数あるゴッホの自画像の中でどの絵がいいとか好きとかあるか?」って返すんだけど深馬が「あるよ。良い悪いはともかく好きはある」って言うのがすごく好きで。

 

これ、"絵"に限らず表現全般に言えることだと思ってて。

歌やダンス、演技も、もちろん上手い下手はあると思う。

ピッチとかリズムとか滑舌とか、わかりやい要素もある。

だけど、そこが完璧だったら「好き」になるかと言われたら違うんだよね。

もちろん最低ラインはあると思うけど、ただ上手いだけでは好きにはならない。

その表現に込められた感情とか、その人の生き様、いろんな物を含めて好きになる。

多少音が外れてても、リズムがずれてても、好きなものは好き。

深馬はそこにいけなくて悩んでたんだよね。技術ももちろん大事。でも、技術はあったとしても、人の心に残らなければ、自分が満足できる作品を生み出せなければ、意味がない。

 

「やりたい」のか「やりたくない」のか「やめるのが怖い」のか。

「好き」なのか「嫌いなのか」

 

いろんなテーマが込められたのがこの「染、色」という作品なんだろうな。

 

私はそんな「染、色」が大好きです。

脚本も、演出も、キャストも、全て大好きです。

 

素敵な時間をありがとうございました。

 

また、配信が終わったら、キャストさん達の感想も改めて残させてください。